歴史でみる鍛造の解釈の違い

2017.12.26
みっちゃまん
刀鍛冶屋

傷が付き辛い鍛造の解釈が宝飾業界に30年以上いる事で、昔(30年位前)と最近ではだいぶ変わったことを知る事ができました。

鍛造と鋳造を勉強する為に、更に少し前に遡って、江戸時代位からの鍛造と鋳造を見てみましょう。

刀鍛冶

江戸時代以前

時代劇などでも目にする機会があるので、比較的イメージしやすいですね。

昔、鍬や鎌などの生活道具を作っていた鍛冶屋、人の生死を左右する神聖な刀は特別に刀鍛冶として成り立ってきました。

現在では刀鍛冶はごく少数が残ってますが、その作業は神聖なモノとして現在も受け継がれていますね。

生活に密着した、特に美や粋の部分に簪(かんざし)などの飾り職人がいて、現在の宝飾業界に繋がっていったのですね。

テレビドラマの仕事人で簪かんざし職人が出てきますが、その仕事ぶりはテレビドラマでは見て取れませんね。

そもそも昔は砂型の鋳物技術は、やはり鉄鍋等の生活品に使われ、宝飾品には鋳造(キャスティング)の技術は無かったのです。

明治・大正頃

鋳造(キャスティング)の技術が向上して、宝飾業界も徐々に鋳造(キャスティング)に移行してきたのは戦後、昭和になってからだと思います。

戦争などで重機や武器を作る事で技術の向上が図られたことは認めざるを得ないでしょう。

鋳造(キャスティング)の機械もそれ程普及していなかった、大正・昭和初期は未だ職人による手作りが主流で、その細工の細かさには驚かされます。

悲しいかな現在の宝飾職人で、当時の職人の技量を持ってる人を探すのはとても難しい様な気がします。

工業的鍛造

昭和中期~後期

鋳造(キャスティング)の技術もどんどん向上してきました。

細かい細工までも鋳造(キャスティング)で表現できるようになり、どんどんその技術は高まってまいりました。

特に鋳造(キャスティング)の技術が発展したのは、自動車業界の恩恵に因るモノが大きいと考えられます。

車体をいかに軽く、そして強くするかが、車の性能と人体の安全を考えた時に必要だったからに他なりません。

鋳造(キャスティング)しながら、そこに圧力を掛け、冷えていく時に叩く鍛造の様に、分子と分子の密度を高め強度を持たせたのが溶湯鍛造という技術です。

この溶湯鍛造は鋳造(キャスティング)にも関わらず、鍛造と云うため、誤解を受けたり、言葉が独り歩きして鍛造と云われたりします。

宝飾業界にもこの技術で鍛造と謳うメーカーもいます。

平成~

いつの頃からか具体的には分かりませんが、この溶湯鍛造の技術を使った鋳造(キャスティング)技術の事も鍛造と表現されてきました。

その基準になったのが金属の硬度です。

宝飾業界の使う地金(プラチナや18金等)等は非常に柔らかく、鍛造で仕上げたとしてもHV(ビッカース硬度)としてはHV200前後です。

日常の中にそれ以上硬いモノは沢山存在しています。

なので傷が付き辛い鍛造と云いますが、しょせん宝飾業界の云う所の鍛造は、強度を求める特殊鋼で作られる建築材や、建築の時などに使われるユンボやクレーンなどのパーツの方が遥かに硬度はあるのです。

車の強度を持たせるパーツと理論は一緒ですね。

結婚指輪を鍛造で選択しようとする人達へ

一般の人の感覚からすると、金属は硬いとのイメージがあって当たり前ですが、宝飾品に使われるの金属はその柔らかさがあって初めて加工できるのです。

もともろ柔らかい金属を鋳造だから柔らかく傷が付き易く、鍛造は硬く傷が付き辛いと言っているのは、金属をよく知る工業系の人達からすれば、とても滑稽に映ってることでしょう。

それでも工業的生産の鍛造が、鋳造の何割も高く評価されてるのは、それを伝えるマスメディアの影響力である事は否めないでしょう。

業界の発信する情報を鵜呑みにしてはいけませんよ。

宝飾業界で使う金属で、鋳造と鍛造は、豆腐で云う木綿と絹ごし位の差でしかないのです。

鍛造が傷付かないと考える人達は、どうしてもそのデザイン良いのなら何も言いませんが、もう一度宝飾業界における鍛造と鋳造を調べてみると良いと思いますよ。

賢い貴方は、きちんと見極めて、未来の自分達や自分達の家族のために、お金を活かしましょうね。

もう一度言います。

宝飾業界が謳う鍛造も間違いなく傷は付きます。

みっちゃまん

投稿者: みっちゃまん

アトリエ花風里店主、社会事業プランナー。 様々な業界や社会の縦割りな考えに疑問を感じ「既成概念を破壊する」をテーマに活動しています。 主事業のブライダル事業、宝飾事業の古い考え方から時代に合った仕組みを提案しています。

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