彫金と鍛造は同じですか?

2018.01.31
みっちゃまん
地金ロール

手作り指輪を企画運営して、早13年経ちました。

まだまだ勉強中ですが、少し前に鍛造の結婚指輪を二人で作れると聞いて驚いたことがありました。

良くよく調べてみると、彫金教室の流れで作業する手作り結婚指輪のお店でした。

鍛造の作りに似てる一部の工程だけを抜き出して、こう云った事を平気で言うから、鍛造が簡単に作れると誤解された情報が流れてしまうのです。

よほど熟練の職人さんなら可能ですが、指輪作り初めての2人が鍛造の指輪を作る事は不可能ですから、知っておいて下さいね。

鍛造と彫金の同じ様な工程

地金ローラーと云って、地金をローラーで伸して四角や甲丸の鋼材を作る事が可能な機械で地金を伸ばしたり、地金に火を入れ赤く熱してから叩いて成形する一部の工程が鍛造の行為と近いので、鍛造で手作りと謳ってますが、最初にも云ったとおり、一部の工程だけで鍛造と謳う事はできません。

サイズ調整をする時に指輪に火をかけるとしたら、それは既に鍛造ではありません。

金属に火を入れて、赤くし冷めていく段階で叩いて金属の分子を均一化させるのが鍛造の一番の特徴です。

その後、火をかけると焼きなましと云って、鍛造処理によって堅く金属の分子が均一化したモノが、元の状態に戻り、この時点で鍛造では無くなるのです。

私が注意して下さいと促してるのは、鍛造の指輪を選択した人達に対して、サイズ直しの時にその様に処理をするのかを確認して下さいと言ってるのはその為なのです。

刀鍛冶

鍛造から鋳造への変化

そもそも昔は全て地金を叩いて成形する、いわゆる鍛冶屋の生活用品(鍋や農工具など)を作るか、神仏具(刀や寺院の装飾飾り用品など)を作るかでした。

その当時に指輪などはありませんでしたが、文明開化の時代と共に指輪や首飾りをするお洒落が進んだのですね。

当時の金属加工の職人たちの中から、身に付ける宝飾品加工へ転身した人もいる事でしょう。

鋳物(砂型による鋳造)の世界も、昔は鉄鍋とか、やはり生活に密着の道具だったのです。

違いは、大きいモノが鋳造、小さいモノが鍛造かな?と感じますが、当時から鋳造と鍛造の技術は有ったのですね。

少なくても近代に入り、量産を必要とする以前は、全てが鍛造だと思います。

更に時代が進み戦後、近代化へむかう高度経済成長から近代になるにつれ、技術的の向上で鍛造から鋳造での量産品が増えてきました。

その違いは工法の違いであり、大量消費の時代に進み、型から量産が可能になる鋳造は更に勢力を増してきました。

技術の向上は、鋳造をより小さく、鍛造をより強くとさせました。

鋳造のメリットは量産もさることながら、そのデザイン性です。

人々の欲求は個性へと進み、よりデザイン性を求めるようになったと思うのです。

金属を直接加工するよりは遥かに柔らかいワックス(宝飾品の原型を作る時の樹脂)を加工する方がより細かい細工ができるようになったのです。

世界のスーパーブランドがデザインを重視することで、宝飾業界は鋳造の全盛期になりました。

工業的鍛造

鍛造と表現する鋳造技術

結婚指輪で鍛造が選ばれてると聞いたのは、ほんの数年の事でした。

調べた所、金属の硬度ビッカース硬度と云う基準があり、その硬度がビッカース硬度(HV)200位になると鋳造の作り方でも、鍛造と呼ばれる様になっていたのです。

元々は自動車産業などの溶湯鍛造といった技術を宝飾業界に応用したもので・・・溶湯鍛造は言葉こそ鍛造と使っていますが、これは鋳造技術であることを知る人は多くありません。

この為、鍛造と云う言葉が先走りして鍛造と云う人がいますが、専門家に議論してもらっても、間違いなく鋳造なのです。

宝飾ブランドでもドイツのブランドクリスチャンバウワーやニーシングが有名ですね。

ドイツと聞いてまず思い浮かぶのが、車メーカーですね。

車の軽量化と強度は、鋳造でも鍛造並みに強くする技術を生み出したのでした。

刀鍛冶が金属を赤くなるまで焼き、叩いて分子を均一化する事で硬度を高める方法は、その理論より経験の中で知っていた事なのでしょう。

この理論を鋳造に用いて、鋳造の途中に圧力を掛け、叩いたのと同じような硬度を持たせたのが溶湯鍛造なのです。

その技術を用いたモノを鍛造と謳っているのですが、海外のモノもこの様な溶湯鍛造を指すモノも有る事でしょう。

宝飾業界における鍛造の結婚指輪

鍛造の結婚指輪が選ばれる理由に、硬いからと云うのが大半の理由です。

長い結婚生活を共に過ごす結婚指輪なら、少しでも傷が付き辛く、綺麗に保ちたい気持ちは解ります。

そんな消費者の気持ちを利用して、宝飾業界における鋳造と鍛造の違いを説明せず、鍛造と云う言葉が独り歩きしてるように思えてなりません。

鍛造が鋳造より硬いは確かですが、豆腐の木綿と絹ごし位の差だと考えて下さいね。

日常生活の中で、身の回りには、鍛造と云われるHV(ビッカース硬度)200より、更に硬いモノは沢山あるのです。

ステンレスのシンクやホーローの鉄鍋、モノによっては陶器等もあるのです。

結婚指輪をつけて、台所でお茶碗を洗うだけで、ガンガン傷は付いていくことを知っといて下さいね。

一般的な鋳造の結婚指輪の1.5倍以上する鍛造の指輪を選んでも傷は付きます。

少しでもお金を残して、2人の未来の為に使う方が良いと考える私達です。

迷っているなら、お気軽にご相談くださいね。

みっちゃまん

投稿者: みっちゃまん

アトリエ花風里店主、社会事業プランナー。 様々な業界や社会の縦割りな考えに疑問を感じ「既成概念を破壊する」をテーマに活動しています。 主事業のブライダル事業、宝飾事業の古い考え方から時代に合った仕組みを提案しています。

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